
2004年のある日、1人の男が
通勤のために地下鉄へと乗り込んだ。男の乗る
駅は郊外で朝も早いため、いつも空いてはいるのだが、その日は
珍しく1両に自分ひとりしか乗っていなかった。
その時は気分の良い朝だと思っていたのだが、次の駅で
1人の老婆が男の車両に乗り込んできた。
人が全然いないので、好きなところに座れるはずなのだが、老婆は何故か男の座っている前に来た。
男は
頭がいかれているのかと思ったが、面倒に巻き込まれるのは嫌だったので、
老婆とはなるべく目を合わせないようにしていた。ところが、この老婆、何とも
言い表せない不快な臭いがする他、
服もボロボロで観察せずにはいられなかった。
老婆の顔は
乾燥肌と言うにはあまりにも凄すぎる乾燥の仕方で、
ミイラが墓場から這い出てきたと言う表現がぴったりだった。
男は
嫌悪感や不気味と言う感情を通り越して、恐怖を感じ始めた。と言うのも、なるべく顔を合わさないようにはしているが、どうやら
老婆がじっとこっちを見つめているような気配がするからだ。
男が勇気を出して、ちらりと老婆の顔を見やると、老婆は
にやりと不気味な笑いを返した。男はそのまま凍り付いてしまい、しばらく老婆の顔から目線が外せなかった。
その時、老婆が瞬きをしたのであるが、
白濁した生気のない目が、瞬きしたその直後、真っ赤に染まり不気味な光を放った。男は驚いて声を上げそうになったが、次の瞬間には元の白濁した目に戻ったと言う。
男はこの時ようやく
この老婆は人間ではないと悟ったが、あまりの恐怖に体が動かず、背筋を流れる冷や汗の感覚だけが、自分がまだ生きていると思える証であった。
どのくらいの時間が過ぎたのか、男が我に返ると
地下鉄は次の駅に到着していた。ここでも乗客はおらず、相変わらず車両はがらんとしていたのだが、
自分の目の前にいたはずの老婆がいつの間にか駅のホームに立っていた。
男は内心ほっとしたが、
相変わらず老婆は男に笑いかけており、地下鉄がホームを離れ、ホームが見えなくなるまで老婆はその場に立っていたと言う。
男はそれから
恐ろしくて地下鉄には乗れないと語っている。
まるで、
映画の中から出てきたかのような話でにわかには信じられないが、こんな老婆が電車に現れたら生きた心地がしない。
満員電車もごめんだが、あまりに空いている電車も遠慮した方がいいのかも知れない。
posted by ashineko at 11:39|
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